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共同通信は、「政府は(2018年2月)6日の閣議で、今国会に提出予定の働き方改革関連法案に盛り込まれる裁量労働制について、雇用形態や年収に関する要件はなく、「契約社員や最低賃金で働く労働者にも適用可能だ」とする答弁書を(閣議)決定したとの記事を配信しました。

この答弁書は、希望の党山井和則衆議院議員が提出した、質問主意書に対する答弁を閣議決定したものです。

山井議員の質問主意には、「最低賃金で働いている労働者に、企画業務型裁量労働制を適用することは可能ですか」「契約期間3カ月の契約社員および契約期間1年の契約社員に、企画業務型裁量労働制を適用することはそれぞれ可能ですか」と記載されています。

現行の企画型裁量労働制は、労働基準法第38条の4で定められていますが、確かに雇用形態や年収に関する条文はなく、法の解釈として、上記の答弁書が論理的整合性を持つとも考えられます。しかし条文を精読すると、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」との条文があることに気付くでしょう。

雇用契約を締結したばかりの労働者が使用者の具体的指示なしに就労するケースがあるのでしょうか。対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者を最低賃金で雇うことが出来るのでしょうか。山井議員だけではなく、国民を愚弄する答弁書が閣議決定されるという例を見ない事態です。

森友をはじめ平気で嘘の答弁を繰り返す安倍政権に対して、報道は沈黙しています。実際に答弁が行われた時に注目する必要があります。

裁量労働制は、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし労働時間によって行われることが認められる制度であり、専門業務型と企画業務型の二つが法律で定められています。その内、企画業務型裁量労働制については自ら労働時間を自律的に管理して就業する時間や、業務遂行方法を自らが決定できる企業の中枢業務に従事する労働者のみを対象とする制度であると考えられて来ました。

働き方改革関連法案(労働基準法改悪)は、「事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務」に加えて「①法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務」と「②事業の運営に関する事項の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する事項の企画立案調査分析を一体的に行う業務」の二つの類型を新たに追加するものです。現在では「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」で抽象的に示されているに過ぎませんが、中長期的には裁量労働制の適用範囲を野放図に拡大しようとする安倍政権の本音が答弁書に隠されているのです。