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「平成25年度(2013年度)労働時間等総合実態調査結果」は、裁量労働制を検討した労働政策審議会労働条件分科会のおける長時間残業問題の基礎資料であったが、国会論戦でデータが故意に作られていたことが明らかになった。事実経過を振りかえる。

*2013年10月30日 労働政策審議会労働条件分科会で「実態調査結果」を厚生労働省が提示、後にこのデータを加工し、一般労働者の残業時間は裁量労働者より長いとした。

*2014年05月30日 厚労省の委託による、労働政策研究・研修機構調査結果

1カ月の平均労働時間

専門業務型裁量労働制 203.8時間 企画業務型裁量労働制 194.9時間

通常の労働時間制 186.7時間 「実態調査結果」とは異なる調査結果

*2015年07月31日 衆議院厚生労働委員会で、塩崎厚生労働大臣が「実態調査結果」に基づき、「一般労働者の方が平均でいくと長い」と答弁。

*2018年01月29日 衆議院予算委員会で、安倍首相が「厚労省の調査によれば、裁量労働制で働く人の労働時間の長さは、平均的な人で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある。」と答弁。

*2018年02月14日 衆議院予算委員会集中審議 安倍首相が「引き続き精査が必要なデータを基に行った私の答弁は撤回するとともに、おわびしたい。」と1月29日答弁を撤回・謝罪。

*2018年2月19日 厚労省が調査手法の不備を認めて公表。(裁量労働制の人については「実際の労働時間」を調査、一般労働者に関しては「1カ月のうちで残業時間が最も長い1日」を聞き取ったが調査結果をまとめる段階で「最長」を「平均」の数字として取り扱い、裁量労働制で働く人と比べていた。)加藤厚生労働大臣は衆議院予算委員会で裁量労働制をめぐる厚生労働省の労働時間調査に不備があったことを認め、謝罪した。

厚生労働省は、残業が、1日45時間等の誤記があったことも認めた。

*2018年2月20日 衆議院予算委員会で、安倍首相は厚生労働省が裁量労働制をめぐるデータを不適切に利用していたことについて「私からも深くおわびする。」と謝罪したが、「精査が必要なデータに基づいて答弁したことは撤回するが、データを撤回したわけではない。」と強弁。

*2018年2月21日 厚生労働省が野党の会合で「同じ人の残業時間が1週間よりも1カ月のほうが短いなど異常なデータが117件見つかったことを報告。またこれまで厚生労働省が「ない」と説明していたデータの基礎となる調査票が20日に厚生労働省本庁舎の地下倉庫から見つかったことも明らかに。

*2018年2月22日 野党6党は、合同の会合で裁量労働制で働く人の1日の労働時間が「4時間以下」というデータが120件あると、厚生労働省に指摘、加藤厚生労働大臣は記者会見で不適切データ120件について報告を受けていることを認め、地下倉庫で発見された全データ1万件を精査する考えを示した。

*2018年2月26日 衆議院予算委員会で、加藤厚生労働大臣新たに233件の不適切なデータが見つかったことを明らかにした。233件では、一般労働者の1カ月や1週間では残業時間があるのに1カ月のうち「最も残業時間が長い1日」で「ゼロ時間」となっていた。安倍首相は「与党での(事前)審査があり、いま確定的なことは言えない。」と答弁し、調査データの終了前に法案を提出する可能性を否定しなかった。現在は厚生労働省が作成した概要を示す法律案要綱を労働政策審議会に示し、労働政策審議会が「概ね妥当」との答申を出し、厚生労働省が法律案を作成し、与党との事前調査を行っているものと思われる。  (続きがあるかも)