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10月9日1:00~放映されたNNNドキュメント「放射能とトモダチ作戦」は、我々が忘れていた福島第一原子力発電所のメルトダウンによる被爆者の存在を生々しく描き出した。翌日の10日には、原発被災3800人福島訴訟で、国の責任を認めて、原告約2900人に対して総額約5億円の支払いを命じる判決が出された。しかし、この判決は国が示す賠償基準への上乗せを認めるものでしかない。賠償基準は、財物賠償、営業損害・就労不能損害、精神的損害、避難帰宅等に係る費用、家賃に係る費用を対象とするもので健康被害に関する損害賠償基準は不明確なままである。

合同軍事演習に参加するため、韓国へ向けて航行中のロナルド・レーガンは、3月11日、東日本大震災被災者の救援のため、三陸沖へと急行した。ロナルド・レーガンを中心とする艦隊は25隻、乗組員は17,000人であった。3月12日には、三陸沖に入り、救援活動を開始した。備蓄してある飲料水など3,000トンの救援物資が被災地に空輸された。乗組員は私物を含め持っているものは全て提供したと語っている。

3月12日14:00の保安院の会見で「炉心溶解の可能性がある」と公表されたが、15:36には、1号機が水素爆発、記者会見では「炉心溶解」が「炉心損傷」に言い換えられ、メルトダウンの表現は5月まで封印された。ロナルド・レーガンは3月13日には汚染検査を行い、乗組員には、放射性プルームの熱い空気の塊に覆われたことが告げられた。乗組員は一様に「口の中血のような味がする。」「金属を噛んだようだ」と語ったが広島に原爆を落としたB29の搭乗員も、スリーマイルで被災した住民も同様に感じている。

3月15日になって乗組員は館内放送で司令官が、「水を飲まないように!シャワーを浴びないように!」と命じたと語っている。乗組員は、それまでは汚染された海水を濾過した水を飲んだり、それで調理した食物を食べたり、シャワーを浴びたりしていた。アナウンスの後、水を飲まない時期もあったが、5,000人の乗組員が生活するために濾過した海水の使用は不可避であった。

プルームを避けるため、ロナルド・レーガンは、180キロ避難したが、そこでも空中線量は通常の30倍であった。そうした中で、乗組員は防護服を着ることなく、放射線を浴びた189機の航空機、ヘリコプターの除染や甲板の洗浄に従事した。汚染検査がおこなわれ、放射能が検出された軍服、靴などは廃棄処分された。しかし、内部被爆の検査はパイロットには実施されたが乗組員には行われていない。症状を軽減するヨウ素剤を受領したという署名は求められていたが一般の乗組員には配布されていない。

ロナルド・レーガンのトモダチ作戦への参加は4月4日まで続いたが、これによる健康被害が続出することになる。耐え切れない痛み、下痢、直腸出血、脱毛、・・・・損害賠償と5000億円の医療基金の設立を求める裁判が402名の原告によって起こされサンディエゴの連邦地裁で行われている。既に、白血病、癌などで9名が死亡している。我が国では、まだ重篤な健康被害は報告されていないが、何故ロナルド・レーガンに乗組員では頻発しているのか。放射能の8割は風向きによって海上に落下したと考えられるが、スピーディによるプルーンの移動のデータとロナルド・レーガンの運行記録を突合すると、ロナルド・レーガンが大量の放射能に汚染されたことが明らかになる。又、乗組員が汚染された海水を生活用水として使用してきたことも差異の理由であろう。

402名の乗組員が起こした裁判の被告は東京電力である。米国では軍の任務中の損害に対して国や軍に賠償を求めることが出来ないからである。東京電力は日本での裁判を求めたがサンディエゴ連邦地裁は、2014年10月28日東電の求めを退け、サンディエゴ連邦地裁で裁判が続いている。健康被害とトモダチ作戦の因果関係を立証するのは困難だ、とNNNドキュメントで独協医科大学の名取晴彦先生は指摘しているが、日本の裁判例に基づく判断ではないだろうか。チャールズ・ボナー弁護士は医学の専門家の鑑定結果を既に提出済みであり、勝つことのできる裁判と言明している。2004年大統領選挙の副大統領候補として著名なジョン・エドワード弁護士は米国にはディスカバリー制度があり、東京電力や第三者に内部資料等の証拠の提出を命じる権限が裁判所にあるとしている。ジョン・エドワード弁護士は、提出された証拠は日本の裁判でも活用できるとしている。又、乗組員らも日本の被害者のために活用してもらいたいと語っている。

小泉元首相は、2016年5月に訪米して乗組員らの健康被害の訴えに耳を傾け「見過ごせない」と涙をながしたとの報道もあった。小泉元首相は、細川元首相と共に、「トモダチ作戦被害者支援基金」を設立した。9月6日の日本外国特派員協会での会見でも「これはほっとけないと思った。」などと熱く語っている。しかし、小泉元首相は小池都知事との会談で原発反対であることを表明したものの、それ以後米国での体験に基づいた原発反対を積極的に表明はしていない。(10月12日16時現在)そして2016年7月5日に開始された支援基金への募金受付も何故か、2017年3月31日で終了している。

10月22日は原発が大きな争点となる総選挙である。ロナルド・レーガンの悲劇は放射能汚染の恐ろしさを雄弁に語っている。今の時期にNNNドキュメントが放映されたことは高く評価できる。このブログを読まれた方、どんどん拡散して下さい。