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労働基準法はもともと、労働時間の厳格な計算を使用者に課して、労働時間を1日8時間、週40時間と定め、法定労働時間を超える労働については、割増賃金の規定を設けている。時間外労働の割増率は25%以上、法定休日出勤の割増率は35%以上、22:00~05:00の深夜労働の割増率は25%以上で、深夜の時間外勤務については、(25+25)の50%以上、深夜の休日労働については(35+25)の60%以上の割増賃金を支払うことが使用者に義務付けられている。例外は、管理監督者等の労働時間規制の適用除外対象者である。

多くの企業では、管理監督者を拡大解釈して、課長、部長などの役職者に時間外勤務手当を支払っていない状況があることはブログ(1)で述べたが、管理監督者は、労働時間の制限を受けませんが、管理監督者にあたるかどうかは役職名ではなく、その社員の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえて実態により判断されるのです。具体的には①経営者と一体的な仕事をしている。②出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない。③その地位に相応しい待遇がなされている。

昭和62年の労基法改正で研究開発技術者、情報処理技術者、プロデュサー、ディレクター、デザイナーの5つの専門的業務を通達で列挙し、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者に委ねる必要があるため当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関して具体的な指示をすることが困難な業務」について労使協定の締結を条件として実際の労働時間にかかわらず、一定の労働時間だけを労働したものと見做す「裁量労働制度」が設けられた。労基法第38条の3の「専門業務型裁量労働」である。

平成10年の労基法改正では、企業の本社等の中枢部門で企画、立案等の業務を自らの裁量で遂行する労働者について、事業場内で設けられる労使委員会制度内容を審議し決議することによって裁量労働のみなし制を行えることとした。労基法第38条の4の「企画業務型裁量労働」である。

平成15年にその要件を若干緩和する改正が行われた。具体的には企画業務型裁量労働制を実施することが出来る事業場は事業運営上の重要な決定が行われる事業場に限定されないこととなった。

厚生労働省労働政策審議会は2015年2月13日、「今後の労働時間法制の在り方について(報告)」をとりまとめ厚生労働大臣へ建議を行った。安倍政権は平成27年1月~9月の第189回通常国会に建議をもとに労働基準法の改正案を提出したが安保関連法案の成立を優先させたため、労働基準法改正案は継続審議となったが、年明けの国会での法案成立の構えである。

裁量労働制のなし崩し的な拡大は、労働者派遣法のなし崩し的拡大と同じやり口で行われようとしている。官僚の常套句では、「小さく生んで、大きく育てる」です。皆さんも国立競技場建設問題に関する報道でこの言葉を聞いたことでしょう。(続く)