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労働政策審議会建議(報告)は、「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意味や能力を十分に発揮できるようにするため」として、「時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払い義務等の適用を除外した労働時間制度を新たに設けると提言している。しかし、この提言は現在の労働者が置かれた状況とは大きく乖離した空論にしか過ぎない。

現行の労働基準法は、既に、管理監督者について、時間外・休日・深夜の割増賃金の支払い義務等の適用を除外している。管理監督者を労働基準法は、どう定めているのだろうか。厚生労働省はリーフレット「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」で「管理監督者は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものをいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。」と定義し、「管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断します。」としている。リーフレットは丁寧に「企業内で管理職とされていて(上泉注:残業代が払われていない場合)も次に掲げる判断基準に基づき総合的に判断した結果労働基準法上の管理監督者に該当しない場合には、労働基準法で定める労働時間等の規制を受け、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払いが必要となります。」と注意喚起している。

そこで、厚生労働省の判断基準を下記しますので、あなたの上司、例えば課長さんや店長さんは管理監督者にあたるかどうか考えてみましょう。

  1. 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること。(上泉注:経営者と一体的な立場にある人が担当するような重要な職務内容なのか)
  2. 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること。(上泉注:労働時間を自分で決められる権限を持っているのか)
  3. 現実の勤務形態も、労働時間の規制になじまないようなものであること。(上泉注:労働時間を管理されている、遅刻すれば叱られるような課長さんは管理監督者なのでしょうか)
  4. 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること。(上泉注:課長さんの役職手当はどうですか)
  5.  あなたの職場にも名ばかり管理職(管理監督者)が多数存在しているのが現実ではないのでしょうか。報告が提言する高度プロフェッショナル制度は、管理監督者ではない管理職に残業代が払われていないという違法行為の蔓延を助長するものです。次回、多店舗展開する飲食業等の店長さんについて見てみましょう。(続く)