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現在の労働基準法による長時間労働抑制は理論的には残業を命じるためには会社は労働組合と36協定を締結しなければならない。36協定は労使協定であり労働組合の合意がない場合締結出来ない、従って残業を命じることが出来ないという構造で労働組合の存在と労働組合がその機能を生かして、長時間労働を防止することが可能な筈です。

労働基準法第36条2項は、「厚生労働大臣は労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。」と定めています。現行の限度時間は月45時間となっています。月45時間の限度の抜け道は前回(11)で述べた通りです。

では、安倍政権による労働時間上限規制を見逃すわけにはいかない理由は36条の3項にあります。「第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。」現行の労働基準法では36協定による上限規制を月45時間にしなければならないとはなっていません。月の残業の上限を一例として30時間とする労使協定の締結は理論的には可能なのです。

皆さんもお気づきのように労働組合側に問題があるのです。戦後の労働組合の歴史は第一組合の切り崩しと第二組合への衣替えによって大きくねじ曲がってしまいました。

高度プロフェッショナル制度の創設は安倍政権による「働き方改革」の一つで、年収が1,075万円以上の特定高度専門業務・成果型労働制の労働者を対象に制度対象者を労働時間規制の対象外とする制度であるが、これまで残業代ゼロ法案などの批判を浴び廃案となってきた亡霊を復活しようとするものだが、7月13日に行われた安倍首相、経団連の榊原会長、連合の神津会長による政労使トップ会談で連合の神津会長は「制度を導入する必要があるのかというのが根底にある方針転換ではない」として、制度の対象労働者に年104日の休日取得を義務付けるなどの健康確保措置強化を条件に合意するとした。政労使トップ会談を19日に開催し、合意形成を行う予定であったが連合内の一部の労組から「組合員への裏切り行為だ」などと批判が噴出、政労使トップ会談は延期された。

安倍政権は間違いなく連合の合意がなくても(部分的には連合の顔を立てて当たり障りのない譲歩はあるとしても「働き方改革」を強引に進めるでしょう。

次回は安倍政権による「働き方改革」を全体で検証します。(続く)