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厚生労働省が、労働政策審議会に答申した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」は、「高度プロフェショナル制度創設」、「裁量労働制適用対象が大幅拡大」、「残業時間の上限規制」を労働基準法改悪によって行おうとするものであるが、労働基準法の他8つの法律を改正しようとしている。

この他「同一労働同一賃金」「勤務時間インターバルの努力義務化」を図るものだとされています。

「法律案要綱」で示された改正が目論まれている法律は以下のとおりです。「法律案要綱」の全文は「第140回労働政策審議会労働条件分科会」で検索「厚労省(第140回、9月)を選択し、「配布資料」を出す。49ページあるので注意。

  1. 労働基準法の一部改正(1ページ)
  2. じん肺法の一部改正(16ページ)
  3. 雇用対策法の一部改正(18ページ)
  4. 労働安全衛生法の一部改正(21ページ)
  5. 労働者派遣法の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正(29ページ)(労働者派遣法の正式名称です。)
  6. 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正(41ページ)
  7. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正(42ページ)(パートタイム労働法の正式名称です。)
  8. 労働契約法の一部改正(47ページ) 問題点(2)「同一労働同一賃金」はかって労働側が求めていたものであり一見すると「飴」のように見えるが、単なるスローガンにしか過ぎない。「同一労働同一賃金」については安倍政権は既に同一企業の正社員と非正社員の間にある基本給や賞与、手当、福利厚生などの待遇差に関して問題となる例と問題にならない例を示し「ガイドライン案」としている。ガイドラインでは、基本給について、労働者の職務や職業能力、勤続年数などの実態に違いが無ければ同一の、違いがあれば違いに応じた賃金の支給を求めてはいる。しかし公正な職務評価の仕組みは確立されていない。職務を決めるのは経営者であり、職業能力を判定するのも経営者であり、ということになりかねない。同一労働同一賃金が浸透されているとされるフランスやドイツでは、職種別に組織された労働組合の存在があり、どの職務に就くかによって決定される賃金を労働組合が支えてきた歴史があるが、日本の労働組合は企業別に組織されており、大きな違いがある。罰則付きの「残業時間の上限規制」の「飴」に目がくらみ、「残業代ゼロ法案」の容認に傾いた日本の既存の労働組合がどこまで同一待遇に取り組むのか疑問が残る。非正社員にも社員食堂利用を認めるなどという落としどころが垣間見えるようです。
  9.  問題点(3)「勤務時間インターバルの努力義務化」は、過労死防止の有効な手段ですが、努力義務を課すと言いながら具体的なインターバル時間については全く言及されていません。この「飴」もまだ食べて良いのか、駄目なのか、判断できるものではありません。そもそも「努力義務」とは字句通りに解釈しても努力したけどできませんとの言い訳を許容するものですし、努力しなくても罰則は無いことを法律で明らかにすることによってインターバル規制に逆行するものなのではないでしょうか。(続く)
  10.  問題点(1)安倍政権は、「働き方改革」関連の一括法案要綱を示しました。「一括法案」は「安全保障関連法案」を「戦争法案反対!」「安倍政権は即時退陣!」のシュプレヒコールが国会を幾重にも取り囲まれた中で行われた強行採決の時の手口です。従来の一つの法案審議に十分とされた審議時間で8つの法律の審議を行い、問題点を隠蔽したまま強行採決しようとする姿勢が窺われます。しかも既に指摘されている通り「罰則付き残業時間の上限規制」という一見「飴」に見えるものと「残業代ゼロ法案」「裁量労働制適用対象が大幅に拡大」という「鞭」をどのようにして一括審議するのでしょうか。論点整理がままならないことは明らかです。「飴」はおまけでもう二つ着いています。「同一労働同一賃金」と「勤務時間インターバルの努力義務化」です。