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労働契約法は、第2条で「この法律において『労働者』とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われるものをいう。」と定義しています。従って所謂正社員だけが対象となる法律ではありません。有期雇用の労働者、パートタイマー、派遣労働者の全てが労働契約法の対象です。労働政策審議会の労働条件分科会、職業安定分科会、雇用均等分科会の同一労働同一賃金部会が2017年6月9日に「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)を建議しましたが、報告では、・・・・均等待遇規定は短時間労働者についてのみ規定されており(パートタイム労働法)同じ有期雇用であってもフルタイム労働者であれば適用がない現状となっている(要約)・・・・としているが労働契約法第20条の存在を無視するという明らかな誤りをおかしています。

「働き方改革」では、何故、労働契約法第20条を削除するのでしょうか。労働契約法第20条を再掲します。・・・・有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。・・・・パートタイム労働法は「働き方改革」では「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」になります。①期間の定めのない契約の短時間労働者②有期雇用の短時間労働者③有期雇用労働者の3類型が記載されていますが、②,③の類型がほとんどです。①は雇用契約が締結されていない場合に該当しますが、雇用契約が厚生労働省令の定める形になっていないことは労使交渉での争点となります。

「法律案要綱」では、不合理な待遇の禁止として、業務の内容及び当該業務に伴う責任(職務の内容)に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない、としています。使用者の裁量を相当程度認めるかのような文言となっています。具体的な踏み込みが見られるのは厚生施設の利用です。

ただ、注目出来るのは「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは」「措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について」「労働者に説明しなければならないものとすること」と説明義務にかんする記述があることです。

現行の派遣法第40条第5項は、「派遣先は、第30条の3第1項の規定により賃金が適切に決定されるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する当該派遣先に雇用される労働者の賃金水準に関する情報又は当該業務に従事する労働者の募集に係る事項を提供することその他の厚生労働省令で定める措置を講ずるように配慮しなければならない。」と定めています。配慮しなければならない、つまり努力義務ですが、「法律案要綱」では、派遣先は派遣元事業者に対して当該労働者派遣に係る業務ごとに比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報を提供しなければならない。」とされています。

派遣労働者についても労働者の派遣元求めに応じて、待遇の相違の内容及び理由について措置を講ずべきこととされている時効に関する決定をするに当たって考慮した事項を説明しなければならないものとすること」と説明義務に関する記述があります。

「法律案要綱」は、法律案ではなく、労働政策審議会の議論のたたき台ですから、これからどのように具体化されるのか見守る必要があるのですが、安倍政権は、8つの法律の一括審議、採決を目論んでいます。連合の神津会長は経団連の榊原会長と安倍首相との会談で残業時間の上限規制について健康確保措置の強化を条件に合意する構えを見せたが組織内の批判が強く、「高度プロフェッショナル制度」と「残業時間の上限規制」は、反対する。神津会長は、記者会見で「裁量労働制の拡大はすべきじゃない」とも表明したが、13日の執行委員会で一本化提出」を事実上容認することを確認した。見守るにたる審議は期待できるのか疑問が残ります。「働き方改革法案」は、衆議院解散で当面棚上げの情勢だが。自公政権が続く限り必ず再登場するものと思われ、「裁量労働制の適用範囲の拡大」を含む「働き方改革関連法案」についての検討を進める必要があります。(続く)