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法律案要綱の精査を続けます。

第三 雇用対策法の一部改正

1 題名を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用安定及び職業生活の充実等に関する法律」に改める。

2 法律案要綱は、第1条「目的」に労働者がその多様な事情に応じた就業ができるようにすることを通じて」「労働生産性の向上を図り」、第3条「基本的理念」に「その職務の内容及び当該業務に必要な能力等の内容が明らかにされ、並びにそれらを踏まえた評価方法に即した能力等の公正な評価に基づく処遇その他の措置が効果的に実施されることによりその職業の安定及び職業生活の充実が図られるように配慮されるものとすること」を加えている。

(1)「多様な事情」とは何か。法律案要綱は不本意な有期雇用契約や派遣契約の存在を無視し、「多様な事情」で現状を肯定している。

(2)「能力等公正な評価」とは。基本的に評価するのは、使用者であり、公正に評価されることが義務付けられてはいない。配慮は使用者の主観に基づくものであり、労働者が異議申し立てを行うことは困難である。労使協議の対象となる場合もあろうが、労働委員会がそれを義務的団交事項であるとするか否かは不透明である。又、裁判上は公正ではないことの立証義務は労働者側にある。

3 法律案要綱は第4条「国の施策」で、国の講ずべき施策として、「就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保等に関する施策を充実すること」を追加している。有期雇用労働者と所謂「正社員」との労働条件の相違は労働契約法第20条で「当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」とされているが、法律案要綱は第20条の規定を削除することとしている。第20条の規定は派遣法や、パートタイム労働法などで継続されるが、労働契約法との細かい変更点には注意がひつようである。又、法律案要綱は「子の養育・家族介護を行う労働者」に係る施策の充実を国の講ずべき施策としているが関連する法律については言及していない。傷病の治療を受ける労働者に対する施策の充実も、うたわれているが、やはり関連する法律については言及していない。

4 法律案要綱は第6条の事業主の責務の「事業主は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について、当該労働者が行う求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うことにより、その職業の安定を図るように努めなければならない。」(今までは雇用対策法で定められた事業主の責務はこれだけであった。)に「事業主は、その雇用する労働者の労働時間の短縮その他労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者が仕事と生活の調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる環境の整備に務めなければならないことを規定する。」を追加するとしている。罰則規定抜きならば法律案要綱はこんなリップサービスをするのですね。

5 法律案要綱は、雇用対策法が閣議決定によって「労働者の職業の安定及び職業生活の充実並びに経済的地位の向上を図るための必要な労働に関する施策の基本方針を定めなければならないことを規定する。」としている。第6条に追加。基本方針は定めるとしているが、具体的な方策は雇用対策法には盛り込まれないから、ここでもリップサービスを重ねています。(続く)