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法律案要綱の精査を続けます。

第四 労働安全衛生法の一部改正

1 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する労働者に対する面接指導等

①法律案要綱は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する労働者について労働時間が厚生労働省令で定めるところにより、医師の面接指導を行わなければならないと    しています。労働者は面接指導を受けなければならないとされています。

②問題は、労働時間が1月当たり100時間を超えた新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する労働者について面接指導を実施すべき旨を厚生労働省令で定めることとする、とされていることです。

③これに違反した事業者には罰則を科すとしているが、残業の上限規制の抜け道もあり、労働安全衛生法の立法趣旨に反する規定ですね。

2 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の対象労働者については、健康管理時間について1月当たり100時間を超えた労働者について面接指導を実施となっています。健康管理時間とは何か明らかにされていません。そして面接指導の対象となる時間要件については、厚生労働省令を改正して1月当たり80時間を超えた場合とするとされています。

3 産業医・産業保健機能の強化

現行の労働安全法第13条は

「事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

2 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

3 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。

4 事業者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。」

と定めています。

法律案要綱は「産業医は、勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の内容について、事業者の意見を求めなければならない旨を厚生労働省令で定めることとする。」としています。これがどうして「産業医・産業保健機能の強化」なのでしょうか。

言うまでもなく、産業医を選任するのは事業者であり、産業医の報酬を支払うのも又事業者なのです。産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者であり、事業主の利益から独立して医学的所見に基づき勧告してこそ、勧告の意味があるのです。(続く)