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法律案要綱の精査を続けます。

第五 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正

1 待遇に関する情報の提供等

法律案要綱は派遣法第26条の派遣契約の内容に、・・・労働者派遣の役務の提供を受けようとする者(派遣先)は、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報を提供しなければならない・・・ことを付け加えている。

「比較対象労働者」とは派遣先の通常の労働者であって職務の内容並びに配置の変更の範囲が同一と見込まれ、当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者です。

「職務の内容」は「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度」と規定されていますが、「業務の内容」「責任の程度」については幅広い解釈が可能であり、注文主の派遣先が「比較対象労働者」がいないとした場合、派遣元がそれを確認することは困難です。(抜け道1)

「配置の変更の範囲」多くの企業は所謂正社員の転勤を義務付けていますので、正社員が比較対象労働者ではなくなります。(抜け道2)

 

2 不合理な待遇の禁止等

法律案要綱は、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないとしていますが「職務の内容」「配置の変更の範囲」が異なる場合は不合理ではないのです。

 

3 職務の内容等を勘案した賃金の決定

法律案要綱は、派遣元事業主は、派遣就業が終了するまでの全期間において当該派遣先との雇用関係が終了するまで全期間における(派遣先の)当該通常労働者の間での正当な理由がなく。基本給、賞与その他の待遇について不利なものとしてはならないとしているが「職務の内容」及び「配置の変更の範囲」が異なる場合は不利ではないのです。

法律案要綱は、・・・派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めなければならない。・・・としています。考慮、勘案、務める、抜け道のオンパレードです。

 

4 就業規則作成の手続き 派遣労働者に係る事項についての就業規則は派遣労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聞くように努めなければならないとしていますがモロ抜け道ですね。

5 待遇に関する事項等の説明

法律案要綱は、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあった時は、当該派遣労働者と派遣先の比較対象労働者(=業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一であると見込まれる労働者)との間の待遇の相違の内容及び理由、決定をするに当たって考慮した事項を説明しなければならないものとすること、としています。団体交渉等において「職務の内容」「配置の変更の範囲」の壁を突き崩すことが必要です。

 

6 派遣先への通知

法律案要綱は、派遣元事業主が派遣先に派遣労働者が協定対象派遣労働者であるか否かを通知しなければならないとしています。

 

7 派遣元管理台帳

遣元管理台帳にも派遣労働者が協定対象派遣労働者であるか否かを記入しなければなりません。

 

8 適正な派遣就業の確保等

派遣先は派遣労働者に業務に必要な能力を付与するための教育訓練についてはこれを実施する等必要な措置を講じなければならないもとすること。抜け道1。

必要な能力を有していれば教育訓練は不要。抜け道2。

派遣先は派遣される労働者にも福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)を利用する機会を与えなければならない。派遣先にとって利用されることによる不利益はなく、ささやかな均等待遇が実現される。診療所も同様。

 

9 派遣先管理台帳

派遣先管理台帳にも派遣労働者が協定対象派遣労働者であるか否かを記入しなければなりません。

 

10 紛争の解決

派遣元事業主は不合理な待遇の禁止に係る事項、又は待遇に関する説明に関する事項について派遣労働者から苦情の申立てを受けたとき、又は派遣労働者が派遣先に申し出た苦情の内容が派遣先から通知されたときは、その自主的な解決を図るように務めなければならない。派遣先は、派遣先が行う必要な教育訓練に係る事項、又は福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用に関する事項に関し派遣労働者から苦情の申し出を受けたときは、その自主的な解決を図るように務めなければならない。法律案要綱は、紛争の解決のために都道府県労働局長は必要な助言、指導又は勧告をすることができ、必要があると認められる場合は、紛争調整委員会に調停を行わせるものとすること、としているが派遣労働者については、「不合理な待遇の禁止に係る事項、又は待遇に関する説明に関する事項」及び「派遣先が行う必要な教育訓練に係る事項、又は福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用に関する事項」が対象となります。

 

11 公表等

厚生労働大臣による勧告、公表の対象に、具体的には派遣先は 派遣元事業主に対して比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報を提供する義務を負うが、又、派遣先は、されているが、これに違反して指導又は助言を受けたにもかかわらずなおこれらに違反する恐れがあると認める場合を追加する。(続く)