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9月30日(土)14:00~17:00「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の主催で「川崎市人種差別撤廃条例の早期制定を求める市民の集い」が市労連会館で開催された。

7月9日に川崎で強行されたヘイトデモは、改めて人種差別撤廃条例の早期制定の必要性を示す事件だった。ネットでヘイトデモが予告されていたがデモ出発地点は多くのヘイトデモに反対するカウンターが多数終結しており、ヘイトデモは予告した出発地点ではなく、公安、神奈川県警に守られながら、形ばかりのヘイトデモが行われたと思われる。現場ではヘイトデモが多数の市民、労働組合員によって、抑えこまれたのであるが、形ばかりのヘイトデモの動画がユーチューブに掲載されるや否や、たぶん桜の書き込み「さっさと帰れよ!ゴキブリ朝鮮人」などが多数寄せられ、街頭ではなく、ネット上でヘイトデモが行われる結果となった。

6月3日に不当な差別的言動は許されないと宣言した「ヘイトスピーチ解消法」が公布・施行されたが、7月9日の事件は、「ヘイトスピーチ解消法」を実効あるものとするため、人種差別撤廃法制定の必要性を示している。集会は川崎市に対して、川崎市人権施策推進協議会の提言を支持し、ガイドラインに実効性を持たせ、インターネット対策を推進し、市民の尊厳と人権が尊重される川崎らしいルールを作りあげるために「川崎市人種差別撤廃条例を速やかに制定することを求めた「集会決議」を確認した。

集会は、裵重度(べぇじゅんど)青丘社理事長の「川崎の地域活動の歴史から」、社会学者明戸隆浩さんの「解消法以後、どうヘイトスピーチ問題に取り組むか」、師岡康子弁護士の「国際人権基準の求める人種差別撤廃法制度と日本の取組の現段階」の講演が行われた。

我が国は、1965年に成立した「人種差別撤廃条約」を同年に批准している。「人種差別撤廃条約」は「人種(的)差別とは、人種、皮膚の色、世系又は国民的若しくは民族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限、又は優先であって政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。」として「締約国は、①人種差別を批判し、②あらゆる形態の人種差別を撤廃し、すべての人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により、遅滞なく、遂行する義務を負う。このため各締約国は、個人や集団、組織に対する人種的差別行為・実行にたずさわらず、又、国・地方のすべての公的当局がこの義務に従って行動するよう確保する義務を負う。」と定めている。

しかし、我が国は、第4条の「(a)人種主義的活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき違法行為であることを宣言する。(b)人種差別を助長し、かつ扇動する団体や宣伝活動が違法であることを宣言し、禁止し、こうした団体や活動への参加が法律で処罰すべき違法行為であることを認める。」罰則に係る規定の条文については、批准を留保して骨抜きにしている。

そして、「人種差別撤廃条約」を批准した1965年から50年以上を経てようやく「ヘイトスピーチ解消法」を成立させたが、これは罰則規定のない理念法でしかない。日本政府は、2017年7月に人種差別撤廃委員会に「我が国では以下のとおり人種差別を規制しており、ご指摘の包括差別禁止法が必要であるとの認識には至っていない。」と報告している。

政府は、1965年以来一貫して、理念上では、人種差別を否定するものの、実効性のある人種差別禁止には消極的な姿勢である。しかし、地方自治体レベルでは①大阪市が2016年ヘイトスピーチ抑止条例を制定、②愛知県が県営の施設の利用の審査基準に「不当な差別的言動が行われる恐れがあるもの」を不許可とするようにと各部署に要請した,③江戸川区が区の公園等の占有基準に本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行う場合は占有を許可しないと利用者規約を改正、③世田谷区が「(仮称)世田谷区多様性を認め合い、人権を尊重し、男女共同参画と多文化共生を推進する条例(骨子案)」のパブコメを募集、等「ヘイトスピーチ解消法」を実効化する試みが進んでいる。又司法の場でも川崎市の桜本ヘイトデモ禁止仮処分決定、李信恵さん対在特会損害最高裁賠償大阪高裁判決等評価出来る動きもある。

「ヘイトスピーチ解消法」には「人種差別撤廃条約」上の義務の一部を法律化したもので地方公共団体には条約に基づきヘイトスピーチ解消のための施策が求められることとなった。多文化共生を掲げる川崎においても「川崎市人種差別撤廃条例」の速やかな制定を求める運動を強化する必要がある。